Morocco

北アフリカの最西端に位置するモロッコ。その首都がカサブランカだと思っている人は、かなり多いと思う。イングリットバーグマンの美しさが際立った映画『カサブランカ』は有名だが、実はモロッコの首都はラバトという所なのだ。とはいえ、ラバトはカサブランカよりもずっと人口も少なく、小さな都市なので、カサブランカがモロッコの首都と思うのは、かなり普通の誤解だと言えよう。ところで、カサブランカの地名は、スペイン語の『カサ ブランカ』(白い家)に由来し、首都ラバトは ribat(10世紀にイスラム戦士が異端と戦う為に作った要塞化された修道院 )が語源になったらしい。

モロッコに行ったのは、別にこれと言った理由もなく、折角スペインまで来たのだから、ついでにアフリカ大陸に渡ってみたくなっただけのことだった。ところが、ヨーロッパにこれほど近いにも関わらず、独自の民族文化に溢れている面白さに、すっかり魅了されてしまった。
モスクから流れるコーラン、迷路の様な旧市街、20円程度で食べられる屋台もあるし、値切ると10分の1になってしまう買い物はゲーム感覚、ガイドの集中攻撃は他のどの国よりも凄まじい。とにかく異文化に触れ刺激を得たいのなら、モロッコはおすすめだ。ただ、神経質な人はやめておいた方が良いと思う。変な話ではあるが、トイレなんて地面に穴が空いているだけで、鍵はおろかドアさえ無い所も多いし、ホテルではお湯が出ない(出ても途中で水になる)のは当たり前。時刻表はあって無いのと同じで、バスはタクシーの様にどこででも、手をあげて乗るので、バス停は飾りもの同様だ。呆気に取られる事も多かったが、それもまた異文化ならではの楽しみと思えば、慣れる(諦める?)のも早いのだが、柔軟性がないと参ってしまうだろう。もっとも日本人向けのツアーなら、そんな心配もいらないかもしれないが。

そんなモロッコで、一番印象的だったのは、サハラ砂漠で迎えた夜明けだ。真っ暗な中、道のない道をジープで走り砂丘で夜明けを待ったのだが、その美しさは筆舌に尽くしがたい。夜空が、メルヘンの世界の様に少しずつ青くなり、その色がどんどん変化してオレンジ色が混じる頃、一面 砂の大地に風紋が浮かび上がって、黄金色の海のような景色になる。思わず、初雪の降った朝一番に、近所の空き地が真っ白になった時を思い出す。その時、世界を征服したかの様な気分で得意げに自分の足跡を付けて歩いたものだ。同じように、砂地に自分の足跡を付けながら歩いてみたが、今度は世界の大きさを思い知った気持ちになった。

北西アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)を総称してマグレブと呼ぶ。これは、アラビア語で『日の沈むところ』という意味らしい。今度は是非、日没を見たいと思っている。

■バルバロギターでセッション(?)



■ラクダ



■足跡をつけて歩く



■砂漠の朝はかなり冷え込む