Cuba
キューバ旅行記


出発当日、成田に着くと添乗員さんが爽やかな笑顔で出迎えてくれ、簡単な自己紹介の後、飛行機に乗り込んだ。今でこそ、キューバへの直行便があるものの、当時はバンクーバーで乗り換え、メキシコで一泊してから、ようやくハバナに着くという長い道程。機内では、ロビン ウィリアムスの『アンドリューRC1440』が上映され、映画が終わった時、福田さんが「オレ、泣いてもうた~」と目をうるうるさせて言ったことから、映画談議が始まった。最近(昨年5月現在)観たものの中で、福田さんは『シックスセンス』、佳織ちゃんは『ライフ イズ ビューティフル』が印象に残っているとの事。私は『ブエナビスター』と言うと、さすがに皆、出発前に観て来たようで話が弾んだ。この時は、まさか本物のコンパイセグンドに会えるなんて、誰も想像していなかった。たわいもない話から、真面目なギター話まで、色々話しているうちに、目的地のハバナに到着した。

時差ぼけを感じている暇もなく、ハバナ国際ギターフェスティバルが始まる。まずは、主催者ブローウェルのドキュメンタリー映画が上映され、若かりし頃のブローウェルの実演など、彼の20年の軌跡が紹介された。


* 音量のコントロールは、P(ピアノ)は小さな音で、PP(ピアニッシモ)は、弦から「右指を離す音で」表現する。
* グリッサンドは出発点の音よりも、到着点の音を大事にはっきりと出す。
* スラーは、つい早くなりやすいので、リズムに注意する。また、スラーの始めの音を疎かにしない。
* ラスギャードは高音弦が疎かになりやすいので、バランスに注意する。また、弦から手を遠ざけてしまうとコントロールを失いやすいので、弦の近くで待機する。
* 6弦を押さえる時は、指先ではなく、セーハをするような感じで押さえると確実性を増す。特に手の小さい人には効果的。ただし、他の弦の響きを止めない注意は必要。
* 右手は弦から指が離れた瞬間に脱力をしていないとならない。
(私の演奏中に何度も右手首をつかみ、揺らして脱力の確認をしていた)
曲についてや細かい事はもっとあったのだが、スペイン語と英語でのレッスンだったので、聞き逃してしまった所もあると思う。実を言うと、この公開レッスンは急に決まり、運の悪い事にキューバの日本大使からの食事の招待と重なってしまった為、私以外の日本人は大使のお宅に行ってしまったのだ。私も『ブローウェル』と『大使の御招待』の苦渋の選択を迫られ、レッスンを選択したのだが、とても良い勉強になったのでこれで良かったと思っている。(でも、大使とのお食事もしたかった~)

さて、次は今をときめく大萩康司君の『11月のある日』のレコーディングだ。このCDはキューバで録音されたのは皆さんも御存知だと思うが、ジャケットの白い服も現地で買った物で、録音には福田(進一)さんが付きっきりで夜中に行われたのだ。福田さんのバイタリティーには感服する。フェスティバルではコンクールの審査員を務め、演奏をして、その上、レコーディングにまで立ち会ってしまうのだから。私も録音に立ち会う予定(大萩君の許可を得て)だったのだが、疲労で断念した。今になって思えば、あの時無理をしてでも録音に立ち会っていれば、今頃『このCDの録音、見てたんだよ~』なんて、自慢出来たのに、ちょっと悔しい。
何と言っても、このハバナ国際ギターフェスティバルの目玉は、世界中から素晴らしいギタリスト達が集まり演奏を聴かせてくれる所にあると思う。毎日2つのコンサートが聴けるのだ。その中でも、初めて聴いたバヴェルシュタイドルの演奏は生涯忘れられないほど、素晴らしかった。また、最終日には『ブエバビスタソシアルクラブ』のコンパイセグンドの飛び入り演奏もあり、嬉しいプレゼントとなった。たまたま私が映画のパンフレットを持っていたので、サインをお願いしたら「日本に行った時に。私はあなたを憶えていると約束します」と(そばにいた日本人記者が通訳してくれた)握手をしてくれた。


::コンパイセグンド::
ブエナビスタソシアルクラブで一躍世界的スターになった彼。90過ぎとは思えない程の声量で、低く甘い歌声で観衆を魅了した。

::車に乗り込むコンパイ::
彼が車に乗り込んだ後、私が車の窓越しにブエナビスタソシアルクラブのパンフレットを開いて見せたら、窓をあけて投げキッスをしてくれ、握手までしてくれた。少年のような輝いた瞳と、暖かく大きな手は、忘れ得ないであろう。

::私と村治佳織::
彼女が急にステージ演奏をする事になり、プログラムを決める為に私の部屋に来て演奏をしてくれた。たった一人で彼女の生演奏を聞くことが出来て、贅沢な一時だった。

::福田進一 と私::
言い寄られて逃げている訳ではありません。念のため。

::私とコスタスコチョリス::
10年程前、ギリシアのヴォロスでの彼の講習会に参加した事を覚えていてくれて、嬉しかった。このような素晴らしいギタリストに、一刻も早く来日してもらいたいと思う。

::私とフェルナンデス::
オールバッハプログラムの彼のコンサートは、これまで聞いた彼の演奏の中で一番良かったと私は思う。

::ヘンミングウェイお気に入りのバー::
いつも同じ席で砂糖なしのダイキリを飲んでいたという。そのダイキリは、パパヘミングウェイというカクテル名でオーダーできる。おいしい!

::世界遺産にもなっている旧市街::
キューバの古き良き時代の雰囲気が滲み出ている。さながら日本の京都・奈良のようなところだろうか。

::ストリートミュージシャン達::
けっこう上手い。若い頃は、ブエナビスタソシアルクラブのように華やかな舞台で演奏していたのだろう。

::キューバ産の高級葉巻でポーズを取る私::
チョコレートにしか見えないと、皆に笑われた・・・