2022年クラシカルギターコンクール感想(ひとり言 其の七百五十八)

 2022年5月9日

昨日でGWも終わり、今日からの通常生活という方も多いと思います。
このGWは、志田ギター教室第54回発表会があったり、兄夫婦が訪ねて来たり、第53回クラシカルギターコンクールの審査があったり、友人と飲みに行ったり、10年ぶりのパスポート更新に行ったり、、、私も色々と忙しかったです。
行動制限のないGWは久しぶりですから、忙しく活動できるということは嬉しく思います。
ところで、クラシカルコンクールの2次ステージ審査について、出場者31名一人ずつに思ったことを演奏順にまとめてみました。あくまでも一審査員としての個人的な見解です。

(敬称略)演奏順1.金丸花実〜イントロから工夫があり音色も美しい。中間部のミスは惜しいが、リカバリーが良かった。空振り気味の浅いタッチは改善したい。/ 2.吉田松太郎〜欠場/ 3.山岸協慈〜冒頭の弾き直しは致命的ミス。最後のスケールは見事に決まった。/ 4.木村崇雅〜アゴーギクがやや不自然。美音の持ち主。ベースと伴奏のバランスが良い。/  5.近藤勲〜メロディーに入ってすぐの弾き直しは痛い。セーハでフレットに1指が被っているようでベースがこもるのは改善したい。/ 6.南雲充司〜欠場/ 7.桑山ジュリオ〜イントロのスケールでの弾き直しはあまりにも残念。ノリが良くテクニックが活きる快演。/  8.森田晴〜少し重めでこもったような低音が印象的。小さなミスがやや多いのでセット弾きの練習等で安定感を増したい。/  9.渡邊洋邦〜ステージでの緊張からか地に足が付いていない様子でリズムもギクシャクしている。しかし伸びやかで大きな音は魅力的。/ 10.乙川利夫〜イントロから1弦をアポヤンドではっきりとアクセントを付けマズルカのような拍感を出している。全体に硬めの音ばかりなのでまろやかな音色も研究してほしい。/ 11.井上暢〜透明感のある高音が魅力的。人前での演奏に慣れているのか自分の見せ方をよく心得ているようだ。アルベジオの語尾など少しごまかし気味に聞こえるのは改善したい。/ 12.赤井香琳〜イントロを超スローテンポで入ったり、ねちっと溜める歌い回しなど個性的で独自の音楽観を表現している。/ 13.五十木翔太〜ミスも一度なら事故と思えるが、繰り返して同じミスをするのは問題だ。最後の和音の連続ではビビリ音も連続していたので、今の状態から次の状態を改善するように心がけると伸びると思う。/ 14.有賀文洋〜音がこもこもと小さく何が言いたいのかが伝わってこない。右足を伸ばし気味にしているせいか、体の重心が浮き気味。それでは芯のあるしっかりした音を出すのが難しいと思う。一生懸命弾いているのは伝わってきた。/ 15.大里康平〜アゴーギク、ディナーミクともに控えめでさっぱりした表現。もっと大胆に表現してほしいと思うが、大きなミスもなく安定した演奏力には拍手。/ 16.小林龍和〜冒頭から最後まで良い流れで安定感のある演奏を披露。(予選4位通過)/ 17.西岡樹久雄〜体の重心が左に傾いている。さらに体を左右に大きく揺らしてリズムを取っているようだが安定感が失われてしまうので姿勢から改善したい。ゆっくり弾くのも効果的な練習。/ 18.山口直哉〜イントロの右手の引っかけ音はご愛嬌でも最後の大きなミスはあまりにも残念。音色は伸びやかで美しく音量も十分にある。/ 19.下舘沙織〜欠場/ 20.曽根知輝〜粒立ちの良い音で2階の審査席にも立体的に聞こえる。やや固めの持ち音が骨太でピントの合った印象を生んでいた。小さなミスが多いのが惜しい。/ 21.西村慶治〜ド忘れによる立ち往生は気の毒に思う。誰しもが恐れることだが、ここで忘れたらここから弾き始めるなど事前に対策をしておくのも音楽を止めない工夫だと思う。/ 22.藤原盛企〜格別な音の響き。倍音が多すぎて少し気になる所もあるが安定感のある演奏。(予選6位通過)/ 23.福山日陽〜力強く伸びやかな音色。アルベジオではベースを歌うだけでなく中間部からも美しいラインを引き出し立体的に表現していた。(予選3位通過)/ 24.種谷信一〜一音一音を大切に弾いている印象。パーっとテクニカルに弾き飛ばしてしまう演奏者が多い中でホッとする。ただアルベジオではaccel.をしすぎ最後に息切れしてしまった感じだがそれもご愛嬌。/ 25.伏見晃司〜細かいパッセージが雑。丁寧にゆっくり練習すると良いだろう。押しの強い演奏スタイルに説得力を出すためにも引く部分もほしい。/ 26.高田英里佳〜バランスの良い演奏。ミスはあったが流れもよく、これからも元来のセンスや自然さを活かしてほしい。/ 27.二上育矢〜固くてはっきりした音色。テクニックも十分にあるので、サウンドホール上から指板の位置で出すような甘い音色も加えると良いだろう。/ 28.山本孔彦〜右手の粒が揃わずアルペジオの語尾もはっきりしない。ミスがあっても流れを止めない音楽に対する姿勢やアゴーギクは良かった。/ 29.深澤 太一〜おおらかなでクリアな音色の持ち主。冒頭かなり早いテンポで入ったのは勇み足か。テクニックも申し分なく演奏も安定している。(予選5位通過)/ 30.小林透〜ミスが散見されたがリカバリーがうまい。悪い言い方をすればうまくごまかせるということだが、それは実力がないと出来ないことでもあり大事なテクニックとも言える。/31.塩崎容正〜力が入りすぎて固くなってしまったようだ。音楽の流れを止めないことはとても大切。/32.岡本周〜真っ白なパンツドレスがステージ映えする。演奏も美しくお見事。(予選2位通過)/ 33.太田垣昌志〜少々強引でも自分のやりたい音楽を表現するんだという意気込みが伝わる。強く弾いた時に音が割れて聞こえるので美しい音が出せるように爪やタッチを研究したい。/ 34.押山一路〜流暢な演奏のお手本とも言えるような名演。テクニックも申し分なく美しい。(予選1位通過)